西久松 友花
NISHIHISAMATSU, Yukaアーティスト
生物の営みや生命の循環に関心を持つ。
進化や営みの過程の中で残されてきた形象をドローイングによって部分的に抽出し、やきものに変換する事で、⼟という素材を通して⽣の痕跡を可視化している。
岩⽯が⾵化し、⽣物の死骸が混ざり、堆積して⼟が誕⽣した。
⼟の歴史は常に⽣物の進化と共にある。⼈も多様な⽣物の姿を経て進化し、全ての生物が歴史を共有しているとも言えるのではないだろうか。
「Umwelt」とはドイツの生物学者ユクスキュルが提唱した概念であり、「環世界」と訳される。
「環境」はある主体の周りに存在し、それを取り囲んでいるもののことを指すが、
「環世界」は主体が周りに意味を与えながら構築した世界のことだという。
人間が見ている世界はほんの一部に過ぎなくて、それぞれの生物が自然の摂理に従いながら種特有の環世界をもち、生きている。生物が知覚している世界は其々に異なり、
構築した世界にはその主体にしか見えないものや感じないものがある。
例えば、紫外線は人間には見えないが、蝶には見える。ダニは視覚や聴覚はないが、嗅覚や温度感覚が優れている。
生物が巣作りをする時、或る生物は本能的に素材を選び、自らの遺伝情報を頼りに形を生み出す。
時に人間にとっては不必要とされるものが、或る主体にとっては生存に必要なものであったりする。
主体であるどんな生物もそれ自身が中心を成し、意味を与えながら構築した独自の世界に生きている。
この営みや生命の糸がどのようにして途切れる事なく連綿と続いてきたのかを探り、生物の成り立ちを辿ることで、世界をどう見て、知覚、認識していくかを考えたい。
近作に根と根を繋いでいる菌⽷、巨⼤な建築物のような蟻塚、冬⾍夏草などを題材にした作品がある。
地下世界を直接覗き⾒ることは出来ない。しかし⼟の窪みや⽳の存在を知覚した時、その下に地下世界が広がっていることを想像する。
キノコの本体である菌⽷は、細い⽷状の形をしている。菌⽷はほぼ全ての植物の根に⼊りこみ、⼟の中でネットワークを張り巡らせ、植物同⼠を地下で繋いでいると言われている。
つまり菌⽷体を介して根と根が繋がり、私たちを取り囲む大地が繋がっている。
不可視なものを掬い上げ、作品として昇華させる事は、知⾒を広げ物事の本質を究めると同時に、確かに存在するものを証として可視化する⾏為だと思う。
作品と人が接続され、⾃らの感覚世界を開いていく事で人や生物の関係性について改めて考える契機となることを期待する。
西久松 友花 Nishihisamatsu Yuka
京都府生まれ
2011 京都市立銅駝美術工芸高等学校 日本画専攻 卒業
2016 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻 卒業
2018 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器 修了
個展
2016 緋の飾り(ギャラリーヒルゲート/京都)
2017 華飾(ギャラリーヒルゲート/京都)
2018 祈りの飾り(ギャラリー恵風/京都)
2019 輪-リン-(ギャラリーヒルゲート/京都)
2020 拠(ギャラリーヒルゲート/京都)
2021 珠-マニ-(ギャラリーヒルゲート/京都)
2022 化生 (芝田町画廊/大阪)
2022 西久松 友花展(ザ・プリンス京都宝ヶ池/京都)
2024 幽けき棲処(Marco gallery/大阪)
2024 Umwelt(国立京都国際会館ACK会場内YUMEKOUBOU galleryブース/京都)
2025 分解者(ROD GALLERY/東京)
2025 RESIDENTS OF GOKURAKU(75Varick Street/USA,NY)
2026 森の中を泳ぐ Web of Life(滋賀県立陶芸の森 創作研修館ギャラリー)
受賞歴
2015 四日市萬古陶磁器コンぺ2015 入選
2016 京都市立芸術大学作品展 市長賞
2016 京都花鳥館賞奨学金 優秀賞
2017 Kyoto Art for Tomorrow -京都府新鋭選抜展2017 NHK京都放送局賞
2017 京展2016 入選
2017 京都銀行美術支援制度2017年度購入作品選抜
2017 京都花鳥館賞奨学金 優秀賞
2018 京都花鳥館賞奨学金 最優秀賞
2021 国際工芸アワードとやま2020 入選
2023 ART & CITY AWARD presentsシエリアタワー中之島 グランプリ
2023 ceramic synergy 入選
2024 第13回国際陶磁器展美濃 入選
2025 令和6年度京都市芸術新人賞
2025 群馬青年ビエンナーレ2025 ガトーフェスタ ハラダ賞
2026 第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞) 入選
主なコレクション
京都銀行/園城寺/中信美術館/シエリアタワー中之島
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